狂犬病臨床研究会イベント

狂犬病臨床研究会の活動について報告します

世界狂犬病デー2020ウェブセミナーを開催しました

 コロナ禍で各種学術集会やイベントが開催困難になっています。当会も2月の日本獣医内科学アカデミー学術集会での発表を見合わせ、3月に開催予定だったセミナー(世界狂犬病デー2019+1セミナー)を直前に中止する苦渋の決断をしました。例年秋に参加している日本獣医師会主催の2020動物感謝デーin JAPAN “World Veterinary Day”の行事も中止となり、活動の大幅な縮小を余儀なくされました。

その中で、一般社団法人WNP(The World New Prosperity)(代表理事 塚田昭子)、長崎大学中嶋建介教授、国立感染症研究所井上室長らのお力を借りて、ZOOMでのウェブセミナーという当会初の試みを計画しました。

  • 開催日時:令和2年10月4日(日)午後4時~午後5時30分
  • テーマ:「動画で学ぼう、犬狂犬病の臨床診断」
  • 講師:当会副会長 杉山和寿

 400人近くの参加申し込みがあり、臨床獣医師のみならず、公衆衛生獣医師にも多く参加いただきました。(実際の参加者は236名)

佐藤会長の挨拶に続き、早速セミナーに入り、当会が作成したイヌの狂犬病の臨床診断法について解説したDVD(第1版と第2版)を教材に、臨床診断のポイントを解説し、視聴者に狂躁型と麻痺型の狂犬病症例の動画を見ていただき、実際に臨床診断を試みていただいた上で、正解について解説しました。チャットで多くの質問が寄せられ、時間内にすべての回答をすることはできませんでしたが、残りの質問に対してはウェブ上での回答を実施したいと考えています。当会の井上顧問からの総括では、狂犬病に対しては、①発生を想定した準備 ②疑って気づく力 ③探知(サーベイランス)が重要で、そのためには臨床獣医師と行政との連携が重要との提言がありました。

途中で画像トラブルがあったものの、ほぼ時間どおりに進行し、終了後はウェブ懇親会も開催され、さらなる情報交換を図りました。

狂犬病を正しく診断するためには、小さな徴候を確実に拾うことが重要であり、本会のDVDを繰り返し視聴することにより、狂犬病診断技術の向上につなげていただければ幸いです。

                 文責:狂犬病臨床研究会 理事  阿部冬樹